DNA配列解読技術の進歩により、様々な環境(土壌・海水・生体表面や内部など)に生息する微生物から遺伝子情報であるDNAを抽出し、網羅的に解析(メタゲノム解析)することが可能になりました。これまでのように特定の微生物のみに着目した研究から、多数の生物群の相互関係を俯瞰的に捉える研究が進められています。
「16S rRNA遺伝子解析」とは、微生物のうち「細菌」に着目し、その存在比率を推定する手法です。採取した微生物からDNAを抽出し、細菌と古細菌などの原核生物が有している「16S リボゾームRNA遺伝子(16S rRNA遺伝子 または16S rDNA)」という遺伝子断片を増幅・解読することで行います。16S rRNA遺伝子の塩基配列は細菌種毎に少しずつ異なっており、その配列の違いを解読することで、どのような細菌がどれ位の割合で存在するかを知ることができるのです。 私たちは細菌と共に暮らしています。常に体内の決まった部位に存在している細菌を「常在細菌叢」と呼びます。細菌といえば食中毒や腐敗、感染症などの言葉と一緒によく耳にすることから、悪いイメージがもたれていることが多いです。しかし、私たちの生活や身体にとって良い働きをする細菌も多く存在しています。私たちが普段から口にする味噌や醤油、チーズなどの発酵食品の生産現場においても細菌は多く活用されています。細菌は私たちにとって身近な生き物なのです。
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