3タイプのメタゲノム解析
顔を含む皮膚の細菌叢について、お客様ご自身で採取いただいたサンプルをお送りいただいたのち、微生物のゲノムDNAを抽出し、自社で所有している次世代シーケンサー(MiSeq Illmina社)により大量配列解析を行います。得られた配列から、相同性検索および系統分類解析を実施し、データベース内の配列と高い相同性を示す配列が存在する場合は、種レベルまで細菌種の特定が可能です。1キットより抽出されたDNAから3タイプのメタゲノム解析が可能です。お客様のご要望に応じた解析をお引き受けいたします。
細菌叢16S rRNA 遺伝子解析
16S rRNA遺伝子は、細菌(真正細菌)の全てが持っている遺伝子であり、この遺伝子の中には種ごとに配列が異なる領域が全部で9箇所あることが知られています。これらは可変領域1~9(V1 ~ V9)と呼ばれます。本解析ではV1, V2に相当する16S rRNA遺伝子の一部分をPCR 増幅し、次世代シーケンサーで解読することによって、細菌叢に含まれる細菌の種類と存在比率を測定します。シールを貼ることができる部位であれば身体のどこからでも、皮膚上の細菌を解析することができます。お客様のご要望に応じた領域で解析することも可能です。
アクネ菌タイピング解析
アクネ菌は皮膚上で最も存在量の多い細菌種です。皮脂の多い場所を好んで増殖し、加齢と共にその存在比率が減少していきます。最近の研究から、皮膚に良い影響を及ぼすアクネ菌株と悪い影響を及ぼすアクネ菌株がいることが示唆されています。弊社では、独自にアクネ菌のコアゲノムを抽出し、既存のSingle Locus Sequence Typing (SLST)法との互換性を確保したまま精度を向上させた解析を行うことで、アクネ菌の種類(株レベル)を分類することができます。
真菌叢解析(ITS領域)
カビや酵母などは真菌と呼ばれる生物群を構成しています。足裏や脇だけではなく顔にも真菌は存在しており、肌トラブルとの関連性が多く報告されています。真菌は細菌(真性細菌)の中には含まれておらず、16S rRNA遺伝子をもっていません。真菌がもつ遺伝子であるrRNA遺伝子の中には、種ごとに配列が異なる部分が存在し、内部転写領域(ITS)と呼ばれています。弊社ではこの領域をPCRで増幅し、次世代シーケンサーで解読することでサンプル中の真菌の種類と存在比率を解析することができます。16S rRNA 遺伝子解析との併用をお勧めします。